歯科疾患は全身の疾患にも影響する!?

こんにちは!アイリス歯科クリニック院長の平木孝享です。

最近はTVや雑誌などでも、お口の中の健康状態と全身の健康状態が関係していると言われるようになりました。しかし、具体的にどんな形で影響しているのかよく分からないということもあると思います。今回はそれらについて説明させていただきたいと思います。

近年、政府は“未病”の概念を普及させ、病気を重症化させない対策をとっています。生活習慣病を専門とする内分泌科などでは、メタボリックシンドロームという強力なコピーを国民に浸透させ、予防に取り組んでいます。
歯科においても、歯周病と全身新患の関係について研究報告がされており、歯周病を単なる口腔の局所疾患と狭くとらえず、肉眼で発見できる“血管疾患、生活習慣病”と認識するようになっています。

肥満は、高血圧や2型糖尿病、脂質異常、冠状動脈性心臓病、内臓脂肪症候群など、さまざまな慢性疾患を引き起こすリスク因子であることは雑誌やTVなどでも広く伝えられ、耳慣れた方も多いかと思います。最近の研究では、口腔疾患、とくに歯周病との関係も報告され、歯周病と心臓血管疾患との関連性も明らかになってきました。また、複数の研究で、適正体重を維持し、適度な運動の継続と、栄養バランスのよい食生活を習慣とする人は、歯周病の有病率が低いとの報告があります。

歯周病は、細菌の増殖が原因ですが、生活習慣にもその一因がある場合が多いです。したがって、歯周病にかかっている人は、他の生活習慣病にかかっていることも多く、歯周病がいわば、「目に見える生活習慣病」とも言えます。
歯周病にかかりますと、歯周病菌の成分であるリポポリサッカライド(LPS)により歯周組織の血管が劣化し、微小循環障害(毛細血管などの細い血管の血液の流れが悪くなる)が生じてきます。またLPSは、TNF-αと呼ばれるサイトカインを誘導して、血液中のコレステロールや中性脂肪増加の原因となり、メタボリックシンドロームのひとつである脂質異常を起こします。これらのことから、歯周病は動脈硬化の未病ととらえることができます。

また、むし歯を多発している場合は、糖質の過剰摂取が推測され、糖質代謝の問題、つまり糖尿病には至らないまでも、高血糖の状態が推測されます。

すでに歯を何本か失った人は野菜類など繊維質で硬いものを噛みにくくなるので、麺類などの軟らかく、炭水化物が多いものを多く食べるようになりがちです。そうなることで血糖が上がりやすくなり、糖尿病や肥満にも関わってきます。
このように、歯科疾患は生活習慣病とも深く関わっているので、私たち歯科医師は単に歯のトラブルを解決するだけでなく、患者さんの全身の状態や生活習慣にも目を向け、お口の中だけでなく、全身の健康維持にも貢献できるように情報を発信し、日々邁進したいと思っております。ですから、日々の生活の中での健康に関する相談もぜひお聞かせください。

参考文献:“食育”は歯科医療を変える 編著:丸森英史 武内博朗